幻影
流れすぎるもの
ゆれる綿帽子
錆びた自転車のきしみ
川は流れるのをやめ
背を向けた
みなもにくだける影に
ぼくらは
よりそった
時間
みなもに消える
声
記憶と忘却のあいだで
最後の日を
待ちながら
数え唄2
しろくろの
スクリーン
和の差の
あまりを
にぎりしめ
いすわりづつけた
歳月
一と〇のあいだで
ためらいながら
数え歌
品川駅で
きみと別れ
せっちん通りを
歩いてゆく
とよくにさまの
サーカスに
揺れるオメダイ
耳塚にかけ
あわふきむし
飛ばしてあそんだ
数え唄
やりてばばあの
うすわらい
モンゲが喰いたい
サンタマリアに
祈りましょう
きみの記憶に
ジンタのリズム
こうてください
ひと山ふた山
み山こえ
狐の子らの
テント芝居
明日
明けるものと
暮れるもの
似かよい
寄り添う
二つの音叉
光に、あらがい
流れとなって
マリオネット
マリオネット
おもちゃの小舟
砂利のきしみ
かくれんぼ
凍える体重計に
チェを吊るし
シャッターを切る
もう一度
同じ道をまわり
雪の重みを
計測する