2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『影の天使』

ダニエル・リーベスキンドが設計した「脱構築」建築「ベルリン・ユダヤ博物館」には、ルビッチ監督・主演のサイレント短編映画とともに、ファスビンダーの芝居『ゴミ、街、そして死』が反ユダヤ主義的だと抗議するフランクフルトの人々とそれにインタビュー…

ファスビンダー

ドイツのマイケル・カーチスになろうとして、年に7本も映画を撮っていたファスビンダー。彼自身が言うように、映画を撮らずにはいられない病気だったのでしょう。『秋のドイツ』では、バーダー・マインホーフ・グループのテロリスト3人が刑務所で死んだ事件…

「剥製―眼球」

カメラが同時にスクリーンであること、「あなたが何を考えてるか、わかるわよ」と言うマネの女性の眼差し。解体社の清水信臣は、それを土方巽の「剥製―眼球」に託して語っています。 「この「眼球」は、すなわち「剥製―眼球」は、すでにいかなる事物も意志的…

ボン・マルシェ日記

中原中也が1937年2月に精神病院を「無理に」退院して、鎌倉の寿福寺境内に引っ越してから10月に死ぬまでの間つけていた日記を「ボン・マルシェ日記」と言います。パリの百貨店ボン・マルシェ発行のスケジュール帖で、偶数頁の上欄と奇数頁の下欄にボン・マル…

『上海の約束』

ヴィクトル・エリセが子供の頃、映画館にもぐりこんでスタンバーグ監督の「18禁」映画『上海ジェスチャー』のジーン・ティアニーの魅力に圧倒された経験をもとに、フアン・マルセーの小説『上海の呪縛』を映画化しようとしながら実現しなかった『上海の約束…

カマキリ

「カイヨワはその論文『カマキリ』において、カマキリでとくに目につく反射作用の自動性を指摘している(そこでは頭をはねられても、生のための機能はほとんど失われない)。カイヨワはこの反射作用を、その不幸な意味のゆえに、神話に見られる呪われた自動…

ファウンド・フッテージ映画

機械が人間を代替し、人間は機械を遠隔操作することで、出来事を直接体験することがなくなり、出来事が情報の送受信へと解体されていくサイバー時代。例えばマンスキーが言うような世界的インフォメーション・バンクからイメージを引き出し組み合わせて作る…

マキノプロ女優・長谷川泰子

岩佐寿弥『眠れ蜜』。夜の街角に立つ泰子、ショーウィンドウのマリオネット。突然歌いだすシャンソンがよかった。「地球が二つに割れればいい、/そして片方は洋行すればいい、/すれば私はもう片方に腰掛けて/青空をばかり―」 観念的無限状態(空)と何も考え…

『B‐52』

ビトムスキーの『B‐52』をめぐるファロッキとビトムスキーの対話*1(抄訳)「この映画では、人々が飛行機を手入れし、修理し、油を差すのが見られます。人々が忙しく動き回るのは、映画の中で―喜ばしいことに―起こらないこと、すなわち出撃のためです。(…)…