「ブカレストの東 12:08」

ブカレストの東 12:08 (12:08 East of Bucharest)」、1989年のルーマニア革命時まだ14歳だった若手監督コルネリウ・ポルンボユ(Corneliu Porumboiu)が、彼の故郷の人々にとってあの革命は何だったのかを問うた作品。2006年カンヌ映画祭カメラドール受賞。ブカレストの東に位置する田舎町の寒々しい冬の夜明け、街灯がひとつづつ消えてゆくのが俯瞰ショットで捉えられる。まだ人の歩いた跡のない雪景色。降り始めの雪のように最初は美しかった革命、しかし雪も革命も人に踏まれてすぐ泥にまみれてゆく。それでもなおその始まりの美しさに希望をおくかのように、ラストシーンでは、黄昏の街にひとつまたひとつ街灯が灯り、光は広がり、やがて街全体が静かな輝きを放つ。監督へのインタヴューはこちら→http://planeta-cinema.at.webry.info/201104/article_2.html。ポルンボユの新作は「Police Ajective(平刑事)」(2009)。