2016-01-01から1年間の記事一覧

幻影

流れすぎるものゆれる綿帽子 錆びた自転車のきしみ 川は流れるのをやめ 背を向けたみなもにくだける影に ぼくらは よりそった

時間

みなもに消える 声 記憶と忘却のあいだで 最後の日を 待ちながら

数え唄2

しろくろの スクリーン 和の差の あまりを にぎりしめ いすわりづつけた 歳月 一と〇のあいだで ためらいながら

数え歌

品川駅で きみと別れ せっちん通りを 歩いてゆく とよくにさまの サーカスに 揺れるオメダイ 耳塚にかけ あわふきむし 飛ばしてあそんだ 数え唄 やりてばばあの うすわらい モンゲが喰いたい サンタマリアに 祈りましょう きみの記憶に ジンタのリズム こう…

あじさい

あじさい、朝の おもさに、かたむく もうひとつの、時間スレートぶきの 屋根を、ささえ くりかえす、風景を めぐりここで、もう一度 雨にうたれて

明日

明けるものと 暮れるもの 似かよい寄り添う 二つの音叉光に、あらがい 流れとなって

マリオネット

マリオネット おもちゃの小舟 砂利のきしみ かくれんぼ凍える体重計に チェを吊るし シャッターを切るもう一度 同じ道をまわり 雪の重みを 計測する

鉄筒

壁に映写された 鉄筒 鉄筒を繋ぎ 打つ 十字架に 人の姿を 固定する 今朝も ベランダに出て 洗濯機を回す 揺れる 世界の周縁に ざわめきを 聴きながら

留守電

留守電に 残された風景 繰り返し 再生され 唐辛子の生える道 流れるしらべに 耳澄ます 無人の桟橋で 応答を待ち 河から河へ 機械が伝える記憶を 反復する 手と手を合わせ ワルツのように

ニコライ堂

ニコライ堂の夏 中古レコードで聴いた ジプシーの音楽 記憶をなくし 一人演じるテント芝居 南京虫に背中を喰われ 逃げ帰る カルパチアから 幡ヶ谷へ 疾走する馬の背に しがみつく盗賊 海へ漕ぎ出す チェラヴィエク 人間の 白楊の スナップショット ぼくが ぼ…