2014-01-01から1年間の記事一覧

ひうちいし

すなにうもれたこぶね きいろいはなにゆれ かぶくもののうたに みみすます いわかげに あかいさわがに すずめおうろうば はやすおさなご かねたたき いしたたき にごりがわのほとり まちつづける やわらぎの ひうちいし いよいよしろく はまをさまよい ふじ…

船出

真夜中の桟橋から 船出する 乗船名簿に ぼくらの名を 書きしるして 水のように 繰り返される名前 不在のまま名指され 誰でもない者として 待ちつづける 船室の窓から 波間に浮かぶブイを眺めていた 見知らぬ乗客たちと 薄明の港をめざして 日を数え 物語を数…

ルジアダス

深夜のバスで 国境を越える 乗客たちは 灼けた肌を寄せ 慣れた往還を まどろむ ぼくらは 疲労に身をゆだね 河から河へ ルジアダスの夢をたどる 蛇行する山道 岩肌に生える木々 やせた大地と 無辺の広がりのあいだを 揺られてゆく 見知らぬ言葉の響きに 耳を…

ツールドフランス

きみと自転車で 夜の街を走る 雪に吹かれ 橋をわたる 回転する車軸がうたう コマ送りのリズム 雪に刻まれるシュプール 風は北極星をめぐり 川辺の草に灯をともす ツールドフランス 地球の自転に耳を澄まし 肩を並べ 地図を消し 記憶を消し 走りつづける 白い…

氷河と湖

氷河は流れて湖となった その緩慢なな時間を踏み ぼくらは斜面をくだる とどまろうとする意志までの 距離を測り 流れる果てで ぼくらを迎える 静かな部屋 広場の喧騒をさざ波のように聞き 鏡に映るしぐさを確かめあい 二つの記憶のあいだを 往還する 雪の寝…

阿武隈川

阿武隈川の小石を拾いあつめて 夏休みの宿題にする 失踪した男たちの記憶 夜更けまで聞こえる碁石の音 水を求めても声がでず 揺れる天井の木目に 見つめられていた 昼でも起きないものはなに? もてあます時間を なぞなぞでつぶし 医院までの道を 往復する …

ケルン

歩き疲れて 堆積する風景を降りてゆく 絵葉書のような時刻に耳を澄ます 走り去る艀 スナップ写真を撮る人々 草を暖める陽光 白い要塞の壁から 響く歌声 ゆっくりと確かめて 反復するフレーズを口ずさむ 川を辿り 石の街へ 繰り返し同じ風景を過ぎ 壁に凭れ …

風景

艀が刻む時間に耳を澄まし 揺られてゆく 岸壁を走る列車 青い灯火 いくつもの坂を登り いくつもの路地を抜け 同じ風景をくりかえす 流れに耳を澄まし ぼくらは規則正しく揺られてゆく

クラリモンド

(...) 待つことを忘れ 白い記憶のなかで遊ぶ ちいさなクラリモンド 泣いたり 笑ったり おおいそがしだ きみがかえらないとき クラリモンドと 歌をうたおう だれが ぼくとかくれたの だれが ぼくをみつけたの だれが ぼくとうたったの 草の匂いのする歌を

甘小ニ

『塵より出ずる』(2007)で日本でも話題になった中国のブレッソン、甘小ニ(ガン・シャオアル)の新作『在期待之中』(Waiting for God, 2012)、http://www.mask9.com/node/71425

Rousseau, ”keep in touch”

Jean-Claude Rousseau, "keep in touch" (1987) A man sitting at a table begins to write maybe a letter to "keep in touch" with someone. He makes the table lamp flicker as if he gave a signal to the one who is absent. In this short film as we…