氷河と湖

氷河は流れて湖となった
その緩慢なな時間を踏み
ぼくらは斜面をくだる


とどまろうとする意志までの
距離を測り
流れる果てで
ぼくらを迎える
静かな部屋


広場の喧騒をさざ波のように聞き
鏡に映るしぐさを確かめあい
二つの記憶のあいだを
往還する



雪の寝床に揺られ
明滅する風景を
たどりかえす


いまも
きみはあの窓辺に立ち
氷河と湖の物語に
耳を澄ましている