『東京上空いらっしゃいませ』

起きたかもしれない、起きなかったかもしれない固有の過去を誰もがもっており(マルテの手記)、人生がそんな上映途中のフィクション映画で、私はスクリーンに投影された映像で、そこにはプロジェクターの回転音が鳴り響き、世界の物音はそれにかき消され、サイレントの映像だけが流れてゆくならば、まずその機械音に耳を澄ますこと、そこから世界の物音を聴きわけること。『東京上空いらっしゃいませ』。