アレゴリーとしての記念品

「17世紀のアレゴリーの鍵となる形象は屍体である。19世紀のアレゴリーの鍵となる形象は〈記念品〉である。〈記念品〉は、商品が蒐集対象へと変質するときの典型的パターンである。〈万物照応〉は事実としては、あらゆる記念品が他の記念品への無限に多様な連想を呼び起こすということである。」(ベンヤミン、『セントラルパーク』、断章44)
例えばジャック・ターナーの『ベルリン特急』で、瓦礫と化したフランクフルトとベルリンの相似した形状を想起する小道具としてのハイデルベルクの塔のオルゴール。一回限りの出来事と結びついていると同時に、大量生産されるキッチュな商品としての記念品。
「大量生産品はボードレールの目に模範として映っていた。そこに彼の〈アメリカ的性格〉の最も強固な基盤がある。」(断章39)
ボードレールにおいては、「追想Erinnerung が完全に記念品の陰に隠れてしまっている」。(断章44)
紋切り型の反復性において、一回限りのものを生き延びさせるという、「不可能なものの可能性」。