ダグラス・サーク

ダグラス・サークの素晴らしさはどこにあるのでしょう?破滅へ向かって疾走するスポーツカー、水上艇、飛行機などの圧倒的なスピード感。マックス・オフュルスのように優美なダンス・シーン。芝居の書割のような背景と至るところ眼にとまる絵画の装飾性。衣装、美術セットの色彩性。鏡による巧みな効果。分身のテーマ。しかし、もっとどうということもないシーンで、例えば『心のともしび』でジェーン・ワイマンロック・ハドソンが壁紙みたいなスイス・アルプスを背景に車を走らせながら、月が出ているよ、町の灯が見えるよとどうでもいい会話をするだけ、あるいは、『風と共に散る』でドロシー・マローンロック・ハドソンがまたもやスポーツカーを走らせながら会話するだけで、やはりすばらしいと思ってしまう、おそらく、フランク・ボゼージなどとつうじるところがあるかもしれません。