『映画史』3a

ゴダールの『映画史』3aで、映画は、ロッキングチェアーで揺れる老人のように、美女と野獣、民衆と国家、真と偽(言い間違い)、物語と反物語、無と一切、ドイツとフランスという2つの極の間を揺れ動いています。これらの間を揺れながら映画に可能な「何か」とは、そこにある「もの」を捉えること、マネの絵画とともに始まり、イタリアのネオレアリスモがそうしたように、通りすがりの民衆の眼差し、スクリーン上からカメラのようにこちらを見つめる名もない人々の眼差しを捉えることなのでしょう。