2005-05-01 鷲巣繁男 シベリアのことを考えながら、忘れられたギリシャ正教詩人、鷲巣繁男の本をめくっていたら、中原中也についてこんなことが言われていました。 「彼の詩は、丁度、昼寝から覚めた者がその統覚をとり戻す迄の、あの不思議な空間にゆさぶられ、次々に記憶の中に自己を見出す一種の懐かしさに充たされているのでもある。彼は死をまたぎ、その閾の上で生を振り返って歌った詩人であった。」*1 ゴダールの『映画史』で繰り返し引用されるベンヤミンの『舞踏会』の一節が思い出されます。 *1:『呪法と変容』、竹内書店、1972、230-231頁