『映画史』

ゴダールの『映画史』でもっとも感動的な4bの盲目の人々のダンスシーンで引用されるベンヤミンのテクスト。2bでもウェルズの『偉大なるアンバーソン家の人々』の映像とともに引用されていました。チャップリンウェルズで始り、チャップリンウェルズで終わる『映画史』。チャップリンの『ライムライト』におけるキートンとのサイレントのような共演シーンのすごさは言うまでもありませんが、「私は、私のコンポジションにおいて、時を聴く耳を示そうとしているのだ」とのナレーションに続いて、『JLG/JLG』から引用されるゴダールの耳が映され、ウェルズの『オセロ』の闇の中からデズデモーナを見つめるオセロの眼=カメラの後、ベンヤミンへの返答のように差し出されるバラの花。闇の生き物・ノスフェラトゥー=映画は、道化であり詐欺師であるものとして、闇を守る歴史の女神と、死とセックスを求める観衆の欲望の双方に仕えねばならないのでしょう。