『動・響・光』

槌橋雅博の新作『動・響・光』では、『血と骨』の中村優子による神戸・長田をめぐるドキュメンタリー的語りと犬になったり左手を落としたりする男の神話的語りという二つの物語が、第三の縄文的舞踊の部によって媒介され、朱と青の帯、空の太陽と水溜りの太陽として撚り合わされてゆきます。最後にピアノと三味線の二つの音色がしだいに調和してゆき、それが小鳥のさえずりにとって替わられるあたりは、やはりみごとでした。これからも持ち前の過激な単純さを、さらに単純で過激にしていってほしいと思います。