素晴らしき放浪者

小津の『出来ごころ』で借金を返すために北海道行きを決意した喜八が、突貫小僧と感動的な別れをして船に乗り込んだのに、銚子のあたりで「忘れ物したから先帰るわ」と言って海に飛び込むのは、ルノワールの『素晴らしき放浪者』みたいでとてもよかった。ところで、『野獣たちのバラード』をロシア語版で見たら、確かにナレーションの声が宇野重吉によく似ていました。