「ベレジーナ」

スイスで移民・難民排除法案が国民投票にかけられるといいます。ダニエル・シュミットの完成された作品としては最後になった「ベレジーナ スイス最後の日」を、彼が死んだいまこそ全世界が見直さねばならないでしょう。ロシアからの不法移民の娼婦が無名の民衆の力によって新たなスイスの女王になる。ファスビンダーとの友情の記念碑である「天使の影」とも遠く呼応している作品のように見えます。今日のスイスをおそらく予見してたであろうシュミットが、どんなに絶望的状況でも民衆の力への信頼を失わなかったということ、彼が最後まで生を肯定しながら死んだであろうことを、彼の偉大さの証しとして記憶したいと思います。