ダニエル・ユイレ追悼

ルドルフ・トーメの日記より(抜粋)
2006.10.11 昔、私にとってジャン=マリー・ストローブは神であり、ダニエルは女神だった。というのも彼らは、映画において何が良く、何が悪いかを知っていたからだ。いま、映画もまた死のうとしているのだろうか?私は二人を愛していた。よく彼らのフィルムコピーをいろんな上映会場へ運んだものだ、私だけがいつも車を持っていたのだから。帰りも運ばねばならなかったので、バッハ映画などおそらく10回か12回は見て、しばしば途中で眠ってしまうこともあった(それも悪くないわね、とダニエルは言った)。よく彼らの家で彼女が作ってくれるバターとチーズのスパゲッティを食べた。彼女は私が前回ミュンヘンで撮った短編「ジェーンは、アンと一緒に彼女を騙したジョンを撃つ」の編集をしてくれた。私たちは互いにとてもよく理解し合えたので、ジャン=マリーが嫉妬するほどだった。私たちはけっして親称で呼び合うことはなかった、ずいぶん後になってやっと名前で話しかけるようになったけれども。そして、いま、彼女は死んでしまった。
2006.10.13. 今日、スタンダード紙に『私を愛してると言ったわね』(トーメの新作)についての批評が載った。本日16時、ダニエル・ユイレはパリ墓地に埋葬された。
2006.10.14. ハンス・フルヒから聞いたところ、パリでのダニエル・ユイレ埋葬の際にはゴダールジャン=マリー・ストローブを慰めていたという。私にはすべてが幽霊のように感じられる―むこうには死があり、ここには生がある。

http://www.moana.de/Aktuell/Tagebuch/2006/Tagebuch1006.html