『紅い太陽』

ルドルフ・トーメ『紅い太陽』*1をめぐるインタヴュー by Thomas Winkler*2


TW:当時、映画は政治的武器と理解されていました。1962年に一群の映画作家たちがおじいちゃんの映画は死んだと宣言し、これ以後明確に政治的映画を作ろうと主張したオーバーハウゼン宣言の時代でした。

RT:そう、オーバーハウゼンの連中は政治的であろうとしていた、しかし、私はオーバーハウゼンに逆らう映画を作っていた。私の映画はオーバーハウゼンに対するプロテストだった。彼らは社会批判をしようとしていたが、私は違った。
(…)
TW:男性を殺せという雰囲気があったのですか?

RT:そう、そんな雰囲気があった。もともとのアイディアは、ウーシ・オーバーマイヤーとマークヴァルト・ボームという前作『探偵』に出演した二人の素晴らしい俳優を使ってラブストーリーを撮るつもりだった。だが、脚本家のマックス・ツィールマンと私がひと月ほど脚本執筆していた間に、フランクフルトのSDS(社会主義ドイツ学生同盟)会議で、左派社学同からさえ自分たちがのけ者にされていると訴える女性たちがトマトを投げるという騒ぎあり、その時のスローガンが「チンポコを切り落とせ」だった。さらに、アンディー・ウォホールを狙撃する数ヶ月前にヴァレリーソラナスが出したマニフェスト、「全男性抹殺団」(”SCUM−Society for Cutting Up Men”)があった。この二つの出来事からアイディアが生まれたんだ。私たちはただいい物語を探していただけなのに、当時の時代精神からじかに脚本が成立した。それに私は民衆を挑発するのが好きなんだ、抑制しながら民衆を挑発するのがね。