相米と藤沢秀行

碁の名誉棋聖藤沢秀行と言えば、酒と女と博打に没頭してできた莫大な借金を棋聖戦六連覇の賞金で返済した天才無頼漢として有名ですが、相米慎二はこのシュウコウさんのドキュメンタリーを作りたいと百時間ほどカメラを回していたといいます。相米監督自身、碁と競馬が大好きで、一周忌のとき愛用の碁盤でカチンと石の音が鳴るのを、遺族が聞いたとか。映画ができなかったのがじつに残念!(藤沢秀行著『野垂れ死に』〔新潮新書〕より)