2010-04-04 佐渡 灰色の海にうかんだ 思い出のなかのあの島は ちっぽけな胴体から 北と南へ おもいきり翼をひろげ 暮れかかる空にむかって ヒラヒラと飛び立とうとする 大きな蝙蝠そっくりだ ああ、あの島でわたしは 不意に役者になったのだ 鳥でも獣でもない そして同時に 鳥でも獣でもあるものに―― 蝙蝠には自分がない かれらに残されている道は ひとの生活を生きること 花田清輝『ものみな歌でおわる』