『街角の天使』

ジャ・ジャンクーに監督になる決意をさせたというユアン・ムーチー監督の『街角の天使』(1937)は、長屋のような狭い部屋に暮らす貧しい青年たちが通りを隔てた向こう2階の姉妹の妹(チョウ・シュアン)の気を惹こうと奇妙なパフォーマンスをするところなど、なんとなく小津の『落第はしたけれど』(1930)を思わせます。ジャ・ジャンクーはこの映画の世俗性を誉め、それが今の中国映画には欠けているのだと、チャン・イーモーの『ヒーロー』を批判しながら述べています。第6世代のジャ・ジャンクーは、第5世代を飛び越えて(『黄色い大地』には感動したらしいけれど)、30年代の中国映画、あるいは小津、チャップリンの世俗性に連なることから、映画を撮り始めたようです。